焼鳥の練習。

思ってもいなかった挫折

実は当初、焼鳥屋はすぐにやれると思っていました。

スーパーで買ってきたブロイラーで焼いて美味しいなら、
名古屋コーチンや比内地鶏なんかを使えばもっと美味しい焼鳥がすぐ出来る！
だって焼肉だってA5とかの美味しい牛肉なら美味しくなるし、こんなの簡単じゃんｗって思ってました。

ホームセンターで炭買ってきて、インターネットでいろいろな銘柄鳥、地鶏を取り寄せてバーベキューコンロで焼いて、
家族に試食の日々が始まりました。焼鳥も部位によって「塩」と「タレ」ありますが、
メインはタレでいこうと決めていましたので、タレも作りました。家族の反応は、、、

きっとお腹一杯でまずく感じるんや！
ほぼ毎日のように、夕食は焼鳥、今日も焼鳥、明日も焼鳥、明後日も焼鳥だからや！
きっとそのせいだ、きっと、、、
来る日も来る日も、外でバーベキューのように焼鳥を焼いていました。
最初の頃は家族もウッドデッキに一緒にいて、食べてくれましたが、
季節も寒くなり雪が舞う頃には、私だけ頭に雪をかぶりながら外で焼鳥を焼く日々が続きました。
道行く車からは、こんな寒いときに外でバーベキューしてアホじゃないのか？と思われていたと思いますｗ

「美味しい」と言った人はもう試食に呼ぶな

こんなに練習しとるんやから、きっと美味しくなっとるはずや！そうや！家族以外に食べてもらおう！
知人を呼んで何度も焼鳥を食べてもらいました。ほとんどの人は「美味しいーー！」と言ってくれました！！！
喜んでいるのに、反応が微妙な知人もいましたが、焼鳥好きじゃないのだろとか、私とは味覚が違うだろ！と否定するような感想を言う人はその程度に考えていました。基本的に妻はいつも「美味しくないよ」と、、、

どうすればいいのか分からない、、どうすれば美味しくなるのかが全く分からない。
焼鳥の練習だから、ちゃんと意見を言ってくれる人に食べてもらおう。
お世辞なんて当然いらない。
その人の味覚でいいから、とりあえず「否定」してもらおう。
今までの自分は、

そんなクソみたいな、訳の分からんプライドがあった。
今から思えば、この時から劇的に変わったと思います。
そんな日々が3年過ぎた頃、日本一予約の取れない東京、目黒の「鳥しき」さんの予約が取れた！
妻と二人で電話しまくって、30分ぐらいで私の携帯がつながった！
２か月後初めて超有名店の焼鳥を食べることになる。

美味しくするより、まずは「まずくしない」

実はこの頃から、私の焼鳥にも少し変化が出てきておりました。美味しくする方法は相変わらずわからないのですが、
「まずくしない方法」
が少し分かって、まるでパズルが組み合わさるようになってきておりました。

これは私の主観なのですが、料理全般は分かりませんが、焼鳥に関して言うなら
「減点法」だと思いました。
最初に100点与えられて、間違ったことを1つする度に－10点、－5点と言った感じになると思うと、
「やっちゃいけないこと」がいくつもあることに気がつきはじめました。このころには妻も

と。本気でちゃんと見てくれていたのは妻だけだと改めて思いました。

実は４年たった今でも、
自分の焼鳥を美味しいと思った事は一度もありません、
お客様との会話でも言いますが、
「私は自分の焼鳥を美味しくする方法は知りません。
ただ、まずくしない方法はいくつか知ってます」とお答えしています。
しかも自分の焼鳥はまったく食べませんし、自分に「甘え」が出るのが怖くて、味の確認は毎日、妻にお願いしています。

エベレストに雲はかかっていなかった

いざ、「鳥しき」さんへ。
正直言います。鳥しきさんの焼鳥の美味しさが、私の考えている遥か上なら焼鳥はあきらめようと思って行きました。
感想は、「想定の範囲内！！」間違っちゃいけませんよ！同じレベルとかそんなんじゃないですよｗ
感想は「美味しかった！」この一言！エベレストの頂上に雲はかかっていなかったですが、どうやって登るんや？って感覚ですねｗ

ここからは早かったです。あれよあれよという間に、ご提供する内容やら順番やらも決まり始めて、
いよいよ「お店を作る」事になっていきますが、最終判断は妻のGOサインがでてからになります。